法務局の自筆遺言書保管制度が始まって半年以上がたちました
2021-05-12
令和2年7月に法務局で自筆証書遺言書保管制度がスタートし、令和3年3月末までで16721件の申請あったと公表されています。
月ごとにみますと、令和2年7月は2608件あったものの、令和2年末頃からは1500件前後であり、申請件数は落ち着いてきている様子です。
これは、遺言書を作成するにあたり、どの方式を利用するのがよいか、
(イ)公証役場で公正証書遺言書を作成する
(ロ)自筆証書遺言書を作成して法務局に預ける
(ハ)自筆証書遺言書を作成して自宅や貸金庫に保管する
遺言者がよく考えた結果を表していると思います。
どの方法も長所短所があります。
自筆証書遺言書保管制度は、「公正証書遺言書と同じことが安くできるようになった」という単純な話ではありません。
自筆証書遺言書保管制度の利用を考えるにあたっては、以下の点に留意してください。
①遺言書は自分で書くこと(財産目録を除く)
②法務局に遺言書保管申請をするとき、自分で行く必要があること
③遺言書を預けたあと、遺言者・受遺者・遺言執行者などの住所氏名等が変わったとき、法務局に変更の届出をする必要があること
④遺言者が死亡したあと、相続人等が遺言書の内容の証明書を取得するときには、遺言者の出生時から死亡時までの全ての除籍謄本等を集める必要があること
⑤遺言者が死亡したあと、相続人等が遺言書の内容の証明書の交付を受けると、遺言書保管官(法務局)はその方以外の相続人等に対して遺言書を保管している旨を通知すること
とはいえ、自筆証書遺言書を法務局に預ければ、自宅で保管するより紛失の危険はありませんし、公正証書より費用面で安くなることが多い等、長所もあります。
まさに、自分にはどれが合っているのか検討し選択することになります。
当事務所でもご相談に応じております。